自治会や町内会の役員名簿作成と個人情報保護について考えてみる

間もなく新年度です。自治会や町内会でも新しい役員体制になったところも多いのではないでしょうか?新しい体制になって必要なのが名簿です。僕が会長を務める自治会は約40の組、4つのブロックで構成されています。名簿が無いと自治会の運営も出来ません。しかし個人情報保護法の施行後名簿の作成には何かと気を使います。そこで今回は自治会や町内会において役員名簿を作成する際について考えてみます。

目次

個人情報とは?

まずは基本的なことから確認しておきましょう。そもそも個人情報とは何でしょうか?「個人情報の保護に関する法律」いわゆる「個人情報保護法」の条文をを確認してみましょう。

個人情報の保護に関する法律(定義)第2条

この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

  1. 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。以下同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
  2. 個人識別符号が含まれるもの
サイト管理人

ちょっと何言ってるかわかりません (・・;)

かみ砕いていえば…

個人情報保護法において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報で、氏名、生年月日、住所、顔写真などにより特定の個人を識別できる情報です。その他にも顔認証データ、指紋認証データ、パスポート番号、基礎年金番号、運転免許証番号、住民票コード、マイナンバー、保険者番号も「個人情報」にあたります。

ただ、自治会や町内会で扱う個人情報は氏名、生年月日、住所、電話番号、携帯電話番号でしょう。デジタル化を進めている自治体や町内会であればメールアドレスや自治会運営アプリなどのログインアカウント情報も個人情報と考えたほうが良いでしょう。

自治会や町内会で役員の個人情報を取り扱うときの基本的ルール

自治会や町内会の組織で役員や班長、組長の個人情報を取り扱うときの基本的なルールを確認しておきましょう。個人情報の取扱いは大まかに以下の4つのケースに分けられます。

  1. 個人情報の取得・利用
  2. 個人情報の保管・管理
  3. 個人情報の第三者への提供
  4. 個人情報の開示請求への対応

ひとつひとつ詳しく見てみましょう。

1.個人情報の取得・利用

自治会や町内会において役員や班長、組長のの個人情報を取り扱うにあたって、どのような目的で個人情報を利用するのか具体的に特定する必要があります。現在では役員や組長、班長の住所や電話番号の個人情報を取得することはあってもその利用は限定的ではないでしょうか?僕が会長を務める自治会では住所の個人情報は取得せず氏名と年齢、電話番号、所属ブロック・所属組のみです。作成する名簿は役員と組長のみが利用し、自治会会員に回覧する年度初めの新役員の紹介では電話番号を記載していない名簿を作成し回覧しています。

また、次年度の組長さんから個人情報を取得するために現在の組長さんに希望の役員、委員の調査を依頼しています。その書式を参考までに掲載します。

役員、委員希望調査
役員希望アンケートのダウンロード

当自治会で行った自治会の役員、委員の希望調査票です。もしかすると活用したい方がいるかもしれないのでダウンロードして自由にご利用ください。

2.個人情報の保管・管理

取得した個人情報、作成した名簿の漏洩などが生じないように管理しなければいけません。ただ企業や行政機関、大きな組織であれば個人情報のファイルを鍵のかかるキャビネットで保管したり、データにはパスワードを設定したりすることがあるかもしれませんが、自治会や町内会の役員名簿ではそこまでする必要があるのかというと疑問です。僕が会長を務める自治会では電話番号が書かれている名簿は役員と組長のみが持っています。

サイト管理人

年度が終わったら廃棄してくださいね。

と伝えるくらいです。法律に照らし合わせてみればそれでは不十分なのかもしれませんが現実的にはこんな感じで運営している自治会や町内会が多いのではないでしょうか?

自治会や町内会の会員名簿を作成していないので…

僕が会長を務める自治会では個人情報保護法が施行された後からは自治会の会員名簿は作成していません。かつては500世帯の会員世帯の世帯主名、住所、電話番号が記された名簿が全世帯に配布されていました。しかし現在ではそのような名簿は作成していません。ですから自治会員の方は自分が所属する組長が誰かは知っていても電話番号を知りません。

回覧などでお知らせをするときには「ご不明な点は…」で自治会長の名前や電話番号を記載します。ですから何かというと僕の携帯電話が鳴ります。

3.個人情報の第三者への提供

自治会や町内会において個人情報を第三者に提供することはあまり考えられません。しかし法律上は「原則として、あらかじめ本人の同意が必要です。」とあります。

自治会員6

すみません。自分の組の組長さんの電話番号がわからないので教えてくれませんか?

サイト管理人

ご本人の同意を得てきますので少しお待ちください。

とかだったら面倒くさいですね。

4.個人情報の開示請求への対応

個人情報の開示請求をされることは自治会や町内会の役員名簿では考えられませんが…せいぜい電話番号が変わったので修正して欲しいといった要望くらいかと思います。

自治会や町内会の役員、組長名簿程度ではそれほど気にしなくてもよいとは思いますが、中には必要以上に厳格に個人情報保護法を守るよう要求してくる会員もいます。しかし明らかに悪質、不正な個人情報の利用をしていない限り罰せられるようなことは無いでしょう。

警察に通報してやる!

ある組長が
「私は名簿に電話番号載せていいと同意をした覚えはない。これは個人情報保護法違反だ!警察に通報してやる!」
と息巻いていましたが、間もなく1年が経ちますが未だ警察から連絡が来ることはありません。

自治会・町内会の役員、組長名簿のテンプレート

先にも書きましたように私が会長を務める自治会では自治会の役員と組長、役職の名簿は電話番号が記載されたものは役員と組長のみに配布し、回覧板で回すものは電話番号を記載していません。名簿をエクセルで作成し回覧用に電話番業が記載されていないシートが自動で作成されるようにあらかじめテンプレートを作っておきました。コピペやシートのの複製でも対応できますがテンプレート作っておけば次年度ラクではないかと思います。活用するかどうかはわかりませんけど(・・;)

自治会の役員、組長名簿のテンプレート

僕が会長を務める自治会で作成した役員、組長名簿用テンプレートです。エクセルのデータは名簿に名前などを入力するとTEL無しのシートにもコピーされます。

自治会や町内会の個人情報について

個人情報保護法が施行されてから多くの自治会や町内会で会員名簿を作成し無くなったり、役員や班長、組長の名簿を作成しなくなったと聞きます。実際僕が会長を務める自治会においても自治会会員名簿は作成していません。個人情報を守ることは大切ですが名簿を作成しないことでお互いの顔や名前を知る機会、確認する機会が減ったことも事実です。地域社会の大切さがうたわれる昨今です。また災害時には個人情報が無いことの弊害も考えられます。個人情報の適切な取り扱いは必要ですが行き過ぎた対応は問題ではないかと考えます。

自治会や町内会の個人情報の取扱については各自治体や自治連合会でガイドラインを定めているところも多いです。まずは自分の自治会や町内会のある自治体のウェブサイトなどで確認してみるといいでしょう。

自治会、町内会向け個人情報取扱いについてのガイドラインの一例

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この記事を書いた人

k2yukiのアバター k2yuki 自治会長・ウェブ屋

当サイトの管理人です。2022年度に組長が回ってくるタイミングで自治会長をやる羽目になりました。500世帯位の自治会で試行錯誤しながら理不尽な要望も聞きながら何とかやっています。そんな僕が自治会長をやって気付いたこと、今後の自治会運営についての考えなどを記事にしています。本業はフリーランスのウェブ屋。1965年製。空いた時間には愛車ヤマハボルトで遊んでいます。

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