豊橋新アリーナ住民投票に関して自治会組織にアプローチする人たち

豊橋新アリーナ住民投票に関して自治会組織にアプローチする人たち

私が住む地域の自治会は500世帯ほどの会員で成り立っています。自治会の役員や組長は年度ごとに代わってしまうため「住みよいまちづくりの会」という団体を作って主に子供たちの見守り活動や防犯パトロールを行い自治会のサポートを行っています。私もその「住みよいまちづくりの会」に所属しています。

先日「住みよいまちづくりの会」の総会があり出席してきました。その総会には来賓として小中学校から教頭先生、警察の方、県議会議員、市議会議員が出席されています。総会の会場の自治会の集会場に行くと机の上にあるチラシが置かれていました。

豊橋新アリーナを求める会のチラシです。市議会議員が持ってきたものです。その市議会議員は豊橋新アリーナ建設推進派の自民党市議団です。ここで豊橋新アリーナ問題について簡単に経緯を説明しましょう。

目次

豊橋新アリーナ問題のこれまでの経緯

2016年~2020年
佐原市政下での構想開始
  • 2015年、Bリーグ設立に伴い、三遠ネオフェニックスが豊橋市総合体育館をホームアリーナとして使用。
  • 2016年、国がスタジアム・アリーナ改革を推進。
  • 佐原光一市長が新アリーナ構想を進め、2017年には官邸でプレゼンを行う。
2020年11月
浅井市長の就任と公約
  • 浅井由崇氏が市長選で当選。
  • 選挙公報では新アリーナ計画に触れず、豊橋公園内の建設計画を否定。
  • 就任後、「ゼロベースで再検討」と発言。
2022年5月
計画の再浮上
  • 浅井市長が突如、豊橋公園内での新アリーナ建設計画を発表。
  • 市民からは公約違反との批判が高まる。
2023年
市民の反対運動と計画の進行
  • 市民団体が住民投票を求める署名活動を開始。
  • 市は基本計画案を公表し、事業費が当初の150億円から230億円超に膨張。
  • パブリックコメントでは多くの反対意見が寄せられる。
2024年
市長の交代と計画の見直し
  • 11月、長坂尚登氏が市長に就任し、計画の中止を表明。
  • 市議会は契約解除に議会の議決を必要とする条例を可決。
  • 長坂市長はこの条例の取り消しを求めて提訴。
2025年
住民投票の実施へ
  • 5月、住民投票条例が可決され、7月20日に住民投票が実施される予定。
  • 投票では「多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業」の継続の賛否が問われる。

このように、豊橋市の新アリーナ計画は、市民の意見や政治的な動きにより大きく揺れ動いてきました。今後の住民投票の結果が、計画の行方を大きく左右することになります。そんな状況の中で豊橋新アリーナ建設推進派の市議会議員が持ち込んだチラシ。挨拶の際には「私は建設推進派です」とはっきり言っていました。

政治的な「場」として利用される地域活動の現場

住みよいまちづくりの会の総会は「子どもたちの安全」や「地域の防犯」を目的とした活動の報告・協議の場です。来賓に警察の方や小中学校の教頭、地元の議員を呼んでいるのは地域の問題を共有し行政に届けてもらいより良い地域にするためです。しかし、そんな会の趣旨とは直接関係のない「豊橋新アリーナ建設」のチラシが堂々と置かれていたことに、私は少なからず違和感を覚えました。

チラシには「豊橋の未来のために」「スポーツ振興」「地域活性化」といった前向きな言葉が並びます。しかし、その主張が一方的に感じられたのも事実です。なぜなら、そこには「反対意見」や「疑問の声」が一切紹介されていなかったからです。

豊橋新アリーナ問題は現在豊橋市民を二分するテーマです。推進派の市議会議員が自分の主張のためのチラシをこのタイミングで配布することは自治会組織を政治利用していることになるのではないでしょうか?豊橋市の自治連合会の作成する「自治会活動の手引き」にも政治的活動には注意が必要と書かれています。

地域の「つながり」を守るために

もちろん、地域で暮らす私たちが政治に無関心であってはならないと思います。選挙で代表を選び、政策に関心を持ち、声をあげることは、まちづくりの当事者としてとても大切なことです。しかしそれは、一人ひとりが自分の意志で行うべきものであり、地域団体や自治会といった中立性が求められる場が、特定の立場に巻き込まれるべきではありません。

ましてや、今回のように議論が分かれている問題について、一方的な立場のチラシが配られれば、そこに違和感を覚える人がいて当然です。本来、子どもたちの安心安全のために集まった場が、知らず知らずのうちに政治的な場として利用されていたとすれば、組織の信頼性や中立性にも関わってきます。

自治会や地域団体が「政治とどう向き合うか」

では、自治会や地域団体は政治的な話題を一切避けるべきなのかというと、そう単純な話でもありません。市の施策は地域に大きな影響を与えるものですから、時に政治と接点を持たざるを得ない場面も出てきます。

重要なのは、どんな場面でも「一方に偏らず、公平に」「地域住民の多様な意見を尊重する」という姿勢です。どの立場であれ、地域を思う気持ちがあるならば、住民の意見や不安にも耳を傾け、対話を重ねる姿勢こそが求められるのではないでしょうか。

地域活動を政治から守るという視点

私たちは、「地域のために」という言葉を免罪符に、組織の中立性が失われることを見過ごしてはいけないと思います。地域活動は、誰か一部の声を代弁するためではなく、誰にとっても安心できる“場”であるべきです。

「住みよいまちづくりの会」がこれまで積み重ねてきた活動の価値は、政治的な立場とは関係のない、人と人との信頼関係に支えられてきました。それを損なわないためにも、私たちは何が地域活動の本質なのか、今一度見つめ直す必要があるのではないかと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Katsuyuki Susakiのアバター Katsuyuki Susaki 自治会長・ウェブ屋

当サイトの管理人です。2022年度に組長が回ってくるタイミングで自治会長をやる羽目になりました。500世帯位の自治会で試行錯誤しながら理不尽な要望も聞きながら何とかやっています。そんな僕が自治会長をやって気付いたこと、今後の自治会運営についての考えなどを記事にしています。本業はフリーランスのウェブ屋。1965年製。空いた時間には愛車ヤマハボルトで遊んでいます。

コメント

コメントする

目次