自治会・町内会や学校施設の政治利用について

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豊橋新アリーナ問題における政治的中立性とは?

これまで豊橋市で進められている新アリーナ建設計画。昨年秋の豊橋市長選挙で当選したこの新アリーナ計画を見直すことを公約に掲げた長坂市長は計画を中止しました。その後、豊橋新アリーナ建設推進を主張する市議会との対立の結果、夏の参議院議員選挙の日にその是非を問う住民投票が行われることが決まりました。

その住民投票を目前に控えた今、地域の中立性を揺るがすような出来事が相次いでいます。市教育委員会の指摘によって、市内3つの小学校体育館で予定されていた説明会が突然中止されたことが報道されました。

突然の説明会中止・教育委員会の判断

市民団体「新アリーナ・豊橋公園整備を応援する会」は、富士見・松山・つつじが丘の各小学校の体育館で説明会を予定していました。しかし、6月11日付で市教委が「政治的目的での施設利用は不可」と判断し、各校長に使用中止を通達。すでに手続きが完了していた会場に、開催間際で「使えない」との連絡が届く事態となりました。

市教委側は「住民からの問い合わせで初めて政治的利用が明らかになった」「初の住民投票で手探りの対応だった」と説明していますが、主催者側は「ルールが曖昧すぎる」と不満を募らせています。

一方で進む自治会ルートでのチラシ配布

実は私自身も似た経験をしました。私が所属する自治会の中の地域団体「住みよいまちづくりの会」の総会で、机の上に「豊橋新アリーナを求める会」のチラシが並べられていました。持ち込んだのは豊橋新アリーナ建設推進派の市議会議員。来賓として出席していたその議員は、挨拶の場で自らが建設推進派であると明言しました。

住みよいまちづくりの会は「子どもの安全」「地域防犯」といった中立的な課題を扱う集まりであり、政治的主張の場ではないはずです。しかし、そこで配られたのは推進一色の内容でした。反対意見や疑問の声に一切触れず、「豊橋の未来のために」「地域活性化」といったスローガンだけが並びます。

自治会は政治にどう向き合うべきか

政治が地域に与える影響は無視できません。自治会や地域団体が行政と協力する場面も多くあります。しかし、特定の立場に寄りすぎれば、それは中立性を損ない、住民の信頼を失う結果につながります。

「豊橋新アリーナ建設」は市民の意見が分かれているテーマです。であればこそ、公共施設や地域団体が一方の主張に偏った利用をされることには慎重であるべきです。子どもの安全や福祉を扱う場であればなおさらです。

公共施設や個人情報の利用への不信

さらに私が不信感を抱いたのは、昨年の豊橋市長選挙の時に届いたある推進派の市長候補者からの封書です。私はその候補者の集まりに出たことも、連絡先を教えたこともありません。「なぜ僕の住所を知っているのだろう?」ただ一つ思い当たるのは、かつて自治会長を務めた際、市に提出した自治会長名簿の存在です。

この件について候補者に質問しましたが、返事はありませんでした。これが事実であれば、個人情報の目的外使用であり、倫理的にも問題があります。こうした行動が「まちづくりのため」として正当化されることには強い違和感を覚えます。

地域活動の本質を取り戻すために

地域活動は、政治的立場を超えて誰もが安心して参加できる場でなければなりません。その信頼があるからこそ、防犯パトロールも、見守り活動も、住民の協力が得られるのです。

一方で、特定の政治的主張のためにその場が利用されれば、無関心だった住民までもが巻き込まれたと感じ、距離を置くことになりかねません。

地域団体や自治会が政治と向き合う際には、あくまで「公平性」と「多様な声を尊重する姿勢」が欠かせません。行政もまた、市民の手続きや活動が無駄にならないよう、丁寧な説明と一貫したルール運用が求められます。

おわりに

豊橋新アリーナ問題は、単なる施設建設の是非を超え、行政と市民、地域と政治の関係の在り方を問いかける問題となっています。だからこそ、私たち一人ひとりが「地域活動とは何か」「中立性とは何か」に向き合い、声をあげることが求められているのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

Katsuyuki Susakiのアバター Katsuyuki Susaki 自治会長・ウェブ屋

当サイトの管理人です。2022年度に組長が回ってくるタイミングで自治会長をやる羽目になりました。500世帯位の自治会で試行錯誤しながら理不尽な要望も聞きながら何とかやっています。そんな僕が自治会長をやって気付いたこと、今後の自治会運営についての考えなどを記事にしています。本業はフリーランスのウェブ屋。1965年製。空いた時間には愛車ヤマハボルトで遊んでいます。

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