自治会活動における保険のお話

自治会活動における
保険のお話

自治会活動を行っていると思いがけない事故が起きたりケガをしてしまうことがあります。多くの地方自治体では自治会活動、町内会活動、市民活動などにおける事故などについて自治体単位で保険に加入しています。ただその保険の内容については自治体ごとの異なるようで保険の適用となるかどうかは判断が分かれるケースもあるようです。

目次

自治体活動保険の実例

多くの地方自治体では自治会や町内会の活動における事故などによってケガをした場合に保険金が支払われます。また、自治会や町内会の活動中に他人をケガさせてしまったり他人の所有物を壊してしまい賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。しかし保険の適用範囲は地方自治体によって異なるようでいくつか事例を見てみましょう。

愛知県豊橋市の自治会活動保険

豊橋市

まずは僕の住む愛知県豊橋市の事例を紹介します。豊橋市では「市民活動総合補償制度」という制度を設けており豊橋市民がボランティア活動、自治会活動を行っている時に起きた事故を補償する制度となっています。

市民活動総合補償制度のポイント
  • 豊橋市が保険料を負担する。
  • 手続きは事前に団体登録をするだけ。

補償内容

傷害補償
死亡保険金200万円
◎事故日から180日以内に死亡したとき
後遺障害保険金6万円~200万円
◎事故日から180日以内に後遺障害を生じたとき
入院保険金日額 3,000円×入院日数
◎事故日から180日以内
通院保険金日額 2,000円×通院日数
◎事故日から起算して180日までの間において90日を限度
賠償責任補償
対人1名 6,000万円・1事故 3億円
対物1事故 1,000万円・1事故 100万円(主催者の保管物)

対象とならない活動

学校行事、体育協会やスポーツ少年団などが行う競技を目的としたスポーツ活動、神社やお寺など宗教的な祭りやその準備、政治的な活動ついては補償の対象とはならないようです。宗教的というのはかなり厳格に判断しているようで歴史的な伝統行事と言えるようなものでも寺社祭礼は対象外となっています。また子ども神輿も町内を練り歩くだけでも神輿を担ぐこと自体が神社に関わる行為のため対象外となります。学校行事は対象外となっていますがPTAや子ども会主催の活動であれば対象となります。

詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.city.toyohashi.lg.jp/8662.htm

札幌市の自治会活動保険

札幌市

札幌市では自治会、町内会など地域ボランティア活動を行う方が活動中の事故でケガをしてしまったり、他人や他人の財物等に損害を与えてしまい法律上の賠償責任を負った場合に補償金を支払う制度で、令和5年7月からとまだ始まったばかりの「札幌市地域活動保険」という制度です。

札幌市地域活動保険のポイント
  • 札幌市が保険料を負担する。
  • 事前の登録や加入手続きは不要。

補償内容

傷害補償
死亡保険金500万円
◎事故日から180日以内に死亡したとき
後遺障害保険金20万円~500万円
◎事故日から180日以内に後遺障害を生じたとき
入院保険金日額 3,000円×入院日数
◎事故日から180日以内
通院保険金日額 2,000円×通院日数
◎事故日から起算して180日までの間において90日を限度
手術保険金手術の程度に応じた定額
賠償責任補償
対人1名 1億円・1事故 5億円
対物1事故 1,000万円・1事故 500万円(主催者の保管物)

対象とならない活動

学校行事、体育協会やスポーツ少年団などが行う競技を目的としたスポーツ活動、神社やお寺など宗教的な祭りやその準備、政治的な活動ついては補償の対象とはならないようです。ただ、一般的な地域振興や伝統文化の継承を目的としたお祭りであれば宗教目的とはみなさないようです。また、子ども神輿の場合も対象となるようです。一方でPTA活動は対象とならないようです。

詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.city.sapporo.jp/shimin/shinko/chounaikai/hint/tiikikatudouhoken_top.html

仙台市の自治会活動保険

仙台市

仙台市の「仙台市市民活動補償制度」は仙台市民が安心かつ自立して地域社会づくりに取り組めるよう、市が実施・運営している制度です。市民活動中の事故に対して補償金が給付されます。保険料の負担や事前の登録は不要です。

仙台市市民活動補償制度のポイント
  • 仙台市が保険料を負担する。
  • 事前の登録や加入手続きは不要。

補償内容

傷害補償
死亡保険金290万円
◎事故日から180日以内に死亡したとき
後遺障害保険金8.7万円~290万円
◎事故日から180日以内に後遺障害を生じたとき
入院保険金日額 2,700円×入院日数
通院保険金日額 900円×通院日数
手術保険金手術の程度に応じた定額
賠償責任補償
対人1名 100万円・1事故 500万円
対物1事故 50万円・1事故 50万円(主催者の保管物)

対象とならない活動

活動の目的が、特定の政治や宗教等に関わるものは対象にならないようですが宗教的というのは様々な判断があるところですので確認が必要でしょうね。

詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.city.sendai.jp/nponinsho/kurashi/manabu/npo/shimin/shiensedo/katsudo/hosho.html

新潟市の自治会活動保険

新潟市

新潟市には新潟市市民活動保険があり、ボランティア活動、公益的な市民活動中のケガや事故を対象としています。保険料や事前の加入手続きは不要となっています。

新潟市市民活動保険のポイント
  • 新潟市が保険料を負担する。
  • 加入手続きは不要。

補償内容

傷害補償
死亡保険金500万円
◎傷害事故を直接の原因として当該事故の日を含めて180日以内に死亡した場合
後遺障害保険金15万円~500万円
◎傷害事故を直接の原因として当該事故の日を含めて180日以内に後遺障害が生じた場合
入院保険金日額 3,000円×入院日数
◎事故日から180日以内
通院保険金日額 2,000円×通院日数
◎通院日数は180日以内の間で90日が限度
賠償責任補償
対人1名 1億円・1事故 1億円
対物1事故 1億円・1事故 100万円(主催者の保管物)

対象とならない活動

学校管理下の児童生徒自身が行う活動、政治、宗教や営利を目的とした活動、NPO(任意団体)、NPO法人、公益法人、企業などの行う活動などについては対象とならないようです。

詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/shimin/koeki_index/shiminkatyudouhoken.html

三重県伊勢市の自治会活動保険

伊勢市

三重県伊勢市には伊勢市市民活動補償制度があります。伊勢市市民活動補償制度は、市民の皆さんが安心して市民活動を行えるよう、活動拠点が伊勢市にある市民団体等の公益活動中に起きた事故に対し、傷害事故や賠償責任事故を補償するものです。この制度への事前加入・登録などの手続きは必要ありません。

伊勢市市民活動補償制度のポイント
  • 伊勢市が保険料を負担する。
  • 加入手続きや登録手続きは不要。

補償内容

傷害補償
死亡補償200万円
◎事故発生日から180日以内に死亡した場合
後遺障害補償200万円
◎事故発生日から180日以内に後遺障害が生じた場合
入院補償日額 3,000円×入院日数
◎事故日から180日以内
通院補償日額 2,000円×通院日数
◎通院日数は180日以内の間で90日が限度
手術補償入院補償の日額に手術の種類に応じて、保険約款に定める
賠償責任補償
対人1名 1億円・1事故 3億円
対物1事故 1,000万円・1事故 500万円(主催者の保管物)

対象とならない活動

政治、宗教に係る活動、営利を目的とする活動又は職業として行う活動、学校、幼稚園又は保育園の管理下での児童生徒園児の活動、海外での活動ついては対象となりません。また、神輿等の疾走、回転若しくは衝突等危険な行為を伴う祭礼などは対象とならないとなっているので普通の神輿巡行は対象となるのか?宗教的なものではないのか明確ではないので確認が必要でしょう。

詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.city.ise.mie.jp/machi/community/katsudo/1001394.html

神戸市の自治会活動保険

神戸市

神戸市には神戸市市民活動補償制度があります。この制度は、市民がボランティア活動に安心して従事できるよう、市民活動に従事する人がその活動中の事故等により、他人の生命、身体若しくは財物等に損害を与え法律上の賠償責任を負った場合、又は傷害等を負い、医療機関で治療を受けた場合に、補償金を支払う制度です。

神戸市市民活動補償制度のポイント
  • 神戸市が保険料を負担する。
  • 事前の加入手続きや登録手続きは不要。

補償内容

傷害補償
死亡補償500万円
◎傷害事故が原因で事故の日から180日以内に死亡した場合
後遺障害補償500万円
◎傷害事故が原因で事故の日から180日以内に後遺障害が生じた場合
入院補償日額 3,000円×入院日数
◎事故日から180日以内
通院補償日額 2,000円×通院日数
◎通院日数は180日以内の間で90日が限度
手術補償入院補償が給付される場合に保険契約に定める額を給付
賠償責任補償
対人1名 1億円・1事故 5億円
対物1事故 1,000万円・1事故 500万円(主催者の保管物)

対象とならない活動

政治・宗教・営利を目的とした活動等は対象となりません。

詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.city.kobe.lg.jp/a52374/kurashi/activate/support/hoshouseido.html

自治会活動における保険のまとめ

自治会の活動において注意を払っていてもケガをしたりの事故は一定程度起きてしまう可能性があります。そのような時に保険に加入していることは大切です。上に紹介したように自治体で自治会や町内会の事故についての補償が出来るように保険に加入しているところもあります。しかし自治体によっては加入していないところも見かけます。そのような場合には自治会や町内会単位で保険に加入しておく必要があります。

僕が会長を務める自治会では自治会の活動については市の保険で対応できているので安心です。その他、自治会内の団体神輿会では独自に保険に加入しています。また自治会内の集会場は火災保険等にももちろん加入しています。

自治体でどのような保険に加入していてくれるか?どこまでの補償が必要か?など自治会内でよく検討して万が一の事故に対応しておく必要がありますね。

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この記事を書いた人

Katsuyuki Susakiのアバター Katsuyuki Susaki 自治会長・ウェブ屋

当サイトの管理人です。2022年度に組長が回ってくるタイミングで自治会長をやる羽目になりました。500世帯位の自治会で試行錯誤しながら理不尽な要望も聞きながら何とかやっています。そんな僕が自治会長をやって気付いたこと、今後の自治会運営についての考えなどを記事にしています。本業はフリーランスのウェブ屋。1965年製。空いた時間には愛車ヤマハボルトで遊んでいます。

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