自治会・町内会のIT化はどうして進まないのか?

自治会・町内会のIT化はどうして進まないのか?

コロナ禍の時、自治会や町内会活動も色々と制約がありました。ほとんどの行事は中止となり組長会などの会議はもちろん役員会も開かれないという状況でした。2022年度からこの制約も徐々に緩和され2023年には5類扱いとなったことから様々な行事も復活しつつあります。そんな中、多くの自治会や町内会では活動のデジタル化が必要と感じているようです。

僕が自治会長を務めている愛知県豊橋市でも自治連合会でデジタル化の必要性を感じていることから昨年度よりオンライン会議システムの使い方講習会や今年度はLINEのオープンチャットの使い方講習会などが開催されています。しかし、各自治会や町内会でデジタル化、IT化が進んでいるという話は一向に聞きません。それは僕が会長を務めている自治会においても同様です。

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わからないからやらない…

僕は現在50代後半。仕事はフリーランスのウェブ屋です。ですからWordPressを活用してこんなサイトを構築するのも朝めし前ですし、様々なSNSやウェブサービスも使ったことなくてもマニュアル見ればある程度は使いこなせるようになります。ですので、組長会で「電子回覧板」の導入とか提案しているのですが高齢者は拒否反応を示す方が多いのが現状です。紙の回覧板も残すと言っていても「私らにはわからん。紙で十分なんだから必要ない。」と割と頑な方がいます。その人たちもスマホは使っているのにです。

そうは言われても若い世代の組長さんは「電子回覧板」に賛成してくれる方がほとんどです。ですので機会を見てどんどん進めていこうと考えていますが、多くの自治会や町内会は「私らにはわからん」という世代の方が自治会長や町内会長です。冒頭に書いたオンライン会議システムの使い方講習会やLINEのオープンチャットの使い方講習会に参加してみても「多分使われないだろうな」と感じます。ですから自治会や町内会のIT化が進むことは相当難しいと感じます。

そもそも自治体の窓口がデジタル化していない

自治会長をしていると自治体の窓口と役員の変更、補助金の申請やら活動報告などやりとりする必要があります。しかしこれらの手続きのほとんどが郵送、FAXせいぜいメール添付です。書類のひな型はワードやエクセルでサイトからダウンロードできるようになっていますがフォームからの申請や届け出で対応できるようなものあると思います。ここのIT化を先に進めなくてはと感じるのですが変わりそうな気配はありません。

自治体の職員は自治会長や町内会長よりもはるかに若く、IT端末にも慣れ親しんでいるはずなのにです。そんな状況でデジタル化と言っても「私にはわからん」という自治会長や町内会長が運営している以上は不可能ではないでしょうか?

デジタル化・IT化したときの便利さをイメージできない

自治会活動、町内会活動をIT化、デジタル化したときにどのような会の運営になるのかイメージが出来ない。それに対応することは難しい。と感じている自治会長や町内会長が多いという事も自治会や町内会のIT化が進まないという事の原因にもなっています。自治会、町内会活動のIT化が進むとどのようなことが出来るようになるでしょうか?

自治会・町内会のIT化で出来るようになること
  • 電子回覧板の導入
  • ホームページでの情報発信
  • イベントなどの参加申請・出席確認
  • プッシュ型の案内
  • 会費のスマホ決済
  • 自治会運営のアンケート調査
  • 自治会名簿のデジタル化
  • オンラインマップの活用

これらのすべてを出来るようになるまでは相当時間がかかると思います。ひとつひとつ実現できるようにしていけばよいと思うのですが70代の自治会長さんや町内会長さんは「私にはわからん」となります。まぁ無理のないことかもしれません。

今のままでも困らないから

多くの自治会や町内会は毎年決まった行事やイベントを淡々とこなしているだけというところも多いのではないでしょうか?10年ほど前にPTA会長をやっていた時にも感じたのですが、時代に合わない行事、会員のニーズに合わないイベントがいかに多いことか。研修旅行とか県大会、全国大会とか何のためにやっているのかよく分からないものに動員されたり実に無駄に感じたものです。

僕がPTA会長をやった年に教頭先生と話し合い随分と無駄と感じられる行事を無くしたり簡素化したりしました。賛成してくれた人も多かったのですが、ものすごい反対意見もいただきました。でも、反対意見を行ったのはすでに卒業された方…

PTA会員

これまでの伝統というものがあるのよ!

開校30年ばかしの公立中学校に伝統も何もないと思うんですけどね(苦笑)
そんなもんです。

話を自治会に戻して…ずっと続けてきたやり方、毎年行っている行事、常に見直しと改善が必要です。自治会や町内会運営のIT化もその一つです。特に50代以下の世代は程度の違いこそあれ社会人になってからずっとITというものに慣れ親しんでいます。それなのに紙の回覧板、紙の申込書、電話連絡、FAX…自治会や町内会にかかわりあいたくないと感じる一因でもあると思います。

PTAと自治会の共通する部分

PTA会長を経験し自治会長をやっているとPTAと自治会の組織がいかに似通っているかに気付かされます。どちらも…

  • 加入退会が自由な団体。
  • よく分からない役割を押し付けられられる。
  • 何か変えようとすると反対される。

新たな自治会・町内会のあり方を提案してもらう

自治会や町内会のIT化を進めようと考えても原状、現在の自治会長や町内会長には無理です。どんなに講習会をやっても無理だと思います。であれば自治会や町内会の会員の中のITに詳しい方に協力してもらうしかありません。30代から40代の自治会員の方は現在の古い自治会運営、町内会活動に不満を持っています。ですから積極的に加入しようと考えませんし、行事に参加しようとも思いません。

ただ、決して行事が不要と考えているわけではないんです。地域のお祭りがあれば子供と一緒に参加したいと思うでしょうしご近所づきあいをすることだったイヤなわけではありません。ただ関わるとめんどくさい役割を強制されるという事がイヤなのです。であれば、古い昭和の自治会や町内会とは違う令和の自治会運営、町内会活動を提案してもらいましょう。

組長会、班長会などには若い世代の方も出席されています。僕が会長をしている自治会の組長会にも半数は50代以下と見受けられます。しかし皆さん意見を言うことはありません。黙って言われた通りの役割を淡々と行うだけです。それに引きかえ高齢の方は何かと意見を言います。ちょっとでもやり方を変更すると反対してきます。これでは若い世代は誰も自治会に参加しようとは思いません。

自治会や町内会も常に変わっていく時代

昭和のころと時代は大きく変わっています。世帯の構成も働き方も全く違います。町内への関わり合い方も十人十色です。自治会や町内会の運営も千差万別となっていくでしょう。自治会、町内会は不要というような声も聞こえますがそれは「昔の自治会や町内会」であって地域のつながりが不要というわけではありません。自治会や町内会のIT化、デジタル化は必須です。地域に住む様々な世代の方の意見を聞きながら少しずつ進めていけるといいですね。

自治会や町内会のIT化が必要なワケ
  • 情報伝達方法がアナログからデジタルにシフトしている時代に古い町内会は時代にそぐわない。
  • 「自治会不要論」は「地域のつながり不要論」ではない。
  • 5年後、10年後の自治会町内会運営を見据えたらIT化は必須。
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この記事を書いた人

Katsuyuki Susakiのアバター Katsuyuki Susaki 自治会長・ウェブ屋

当サイトの管理人です。2022年度に組長が回ってくるタイミングで自治会長をやる羽目になりました。500世帯位の自治会で試行錯誤しながら理不尽な要望も聞きながら何とかやっています。そんな僕が自治会長をやって気付いたこと、今後の自治会運営についての考えなどを記事にしています。本業はフリーランスのウェブ屋。1965年製。空いた時間には愛車ヤマハボルトで遊んでいます。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 今年(2024年)から自治会長を務めることになり、他の自治会を参考にしようと思い検索して貴サイトにたどり着きました。
    当自治会は若い世代と自治会運営者の接点がほぼ無く、この点を解消することが課題です。
    コミュニケーション拡大のためにも、自治会のデジタル化は必要ですが難しいですね。
    世代間の断絶は、デジタル化でより鮮明になってしまった様に思います。
    デジタルデバイドを解消しようと思っても、テクノフォビアの人たちには迷惑でしか無いでしょうし…。

    • こんにちは。コメントありがとうございます。当自治会においても昭和のころから住宅があった地域と平成半ばに宅地開発された地域が混在しており自治会に対する想いは複雑です。ただ私自身は自治会活動をデジタル化していくことは必要だと考えており当分はデジタルと非デジタルの併用となるでしょう。おそらく一世代、20年くらいかけて進めて行かないと上手くいかないと思います。今年度から自治会長とのこと色々気苦労もあるかと思いますが楽しみながら出来るといいですね。

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