ゴミの戸別収集について

ゴミの戸別収集について

自治会や町内会でしばしば問題となるのがゴミステーション、ゴミ捨て場の問題です。ゴミステーションの掃除当番が負担に感じる人がいたり、自治会や町内会に加入していないとゴミステーションを使えないとか、自治会を退会しようとしたら「ゴミを捨てるな」と言われたりとか様々な問題が見られます。社会の高齢化が進み、またゴミ減量のためにゴミの分別が細分化が進み「分別方法が分からず」ゴミ捨てをあきらめて自宅がゴミ屋敷化していくといった社会問題も起きています。そんな中、一部の自治体ではゴミの戸別収集を進めるところも出てきています。

ゴミを個別に収集していくとなるとそのゴミ収集にかかるコストも大変なのではないかと想像します。僕が会長を務める自治会においても自治会でゴミステーションを管理しています。もしゴミの戸別収集が進んでいったとして果たしてうまくいくのか?考えてみたいと思います。

目次

ゴミ分別の種類が多い

ゴミの分別は自治体によって異なりますが、現在日本ではゴミを基本的には以下の4つに分類しています。

可燃ごみ

紙くず、台所の生ごみ、衣類、木くずなど

不燃ごみ

金属、ガラス、陶器など

資源ごみ

アルミ缶、スチール缶、ガラス瓶、ペットボトル、新聞、雑誌、雑紙など

粗大ごみ

大型家具など

ただ実際にゴミを出すときにはこの分類と異なることもあり、自治体によってさらに細かく分類しているところも多いです。自治体によってゴミの分類が異なる理由としてはその自治体の廃棄物処理計画、廃棄物処理を行う施設が自治体によって異なることにあります。自治体によってゴミ袋が有料であったりすることもその自治体のごみ処理にかかるコストをどのように負担していくかという考え方によるものでしょう。

愛知県豊橋市のゴミ分別事例

僕が住む自治体、愛知県豊橋市は11種類に分別しています。また、ゴミ袋も基本的に有料となっています。

もやすごみ(有料の指定ゴミ袋)

木くず類、資源にならない紙くず類。皮革製品類、食用油など

生ごみ(有料の指定ゴミ袋)

食べ残し、調理くずなど

ビン・カン(市販の袋)

ガラス瓶、スチール缶、アルミ缶など

プラマークごみ(市販の袋)

ラップ類、米袋、菓子・パンなどの外袋、インスタントラーメンなどのカップ、卵・豆腐などのパック、肉や魚の入ったトレイ、プラスチック製の食品容器、寿司のパック、コンビニ店の弁当箱、ソース・サラダ油などの容器、洗剤容器など

ペットボトル(市販の袋)

飲料用、酒類用、しょうゆ・みりんなど調味料用など

危険ごみ(市販の袋)

蛍光管、有水銀の体温計・有水銀の乾電池、スプレー缶・針類・刃物など

こわすごみ(有料の指定ゴミ袋)

小型家電類、傘、アルミホイル、使い捨てカイロ、鍋、やかん、発泡スチロール、プランターなど

布類(市販の袋)

衣類、シーツなど

うめるごみ(市販の袋)

茶碗、皿、植木鉢、コンクリートブロック、ガラス製のコップ、食器類、灰皿など

古紙

新聞・チラシ、雑誌・雑がみ、ダンボール、牛乳パックなど

大きなごみ

 電子レンジ、カーペット、こたつ、布団、毛布、ベッドなど

このように細かく分類されています。危険ゴミ、こわすごみ。うめるごみなど何が何に分類されるのか分かりにくいものもあります。そんな時はごみ分別アプリ「さんあ〜る」で確認して分別しています。自治体によって子のアプリを活用しているところも結構あるのでまだインストールしていない方は試してみてはいかがでしょうか?

さんあ~る

ゴミステーションの管理は自治会や町内会

このように分類されているため月曜から金曜までのほぼ毎日何かしらのゴミ収集日となっています。そしてゴミステーションの設置場所ですが僕が会長を務める自治会では調整池の横とか水路に蓋をしてある場所とかため池の横など私有地ではなく市の所有地の一部を自治会で無償で借りて管理するという形をとっています。

そしてゴミステーションの管理は自治会で行い、清掃などは当番制で回ってくる形です。当自治会ではそのような場所があるので良いのですが、隣の自治会ではそのような場所がありません。

で、どうしているかというと…その年の組長の自宅前がその年のゴミステーションとなる形をとっています。そのゴミステーションの清掃は組長の役割となっています。効率的のようですが自治会に加入していない人がゴミを捨てていくとなれば、やはりモヤモヤした気持ちにはなるでしょう。

そして中にはゴミステーションの利用を拒否された方もいるようでそうした方が当自治会のゴミステーションに捨てていくなんて行くこともしばしば見られます。

自治会員3

自治会に入ればいいのに…

と思われる方もいると思いますが、基本的に自治会への加入は自由ですので強制するわけにもいきません。しかし住民税を納めている以上、ゴミ収集サービスを利用する権利はあります。ただゴミステーションを利用する権利は?となるとなかなか難しいものがあります。裁判にまで発展したケースもありますが自治体や自治会、町内会によっても状況は異なりますので簡単に線引きできない問題かと思います。

ゴミの戸別収集

自治会や町内会で管理するゴミステーションがあるからトラブルになるのでゴミステーションの管理をすべて行政が行うようにするか、それともゴミの収集を戸別に回って収集するようにするかという議論が出てきます。国立研究開発法人国立環境研究所のウェブサイトの記事で「ゴミの収集方式」ついて書かれたものあがあります。その記事によると日本国内では「ゴミステーション方式のみ」の自治体が56%。高齢者支援のため「一部戸別収集をしているゴミステーション方式」の自治体が35%。「戸別収集」の自治体が8%というのが現状です。戸別収集を行っている自治体はごく少数です。

ゴミの戸別収集となれば当然収集のためのコストは増大することは容易に想像できます。しかし、社会の高齢化共にゴミステーションまでが遠いとか、ゴミの分別方法が分からないとかでゴミをゴミステーションに持っていくことが困難になっている住民が増えてきています。また、ゴミ出しのルールを守らない地域以外の住民によるゴミ捨ての問題。資源ごみや小型家電などのゴミの持ち去りの問題も深刻です。

ゴミステーションにまつわるトラブル
  • 収集日以外に出されるゴミ
  • 自治会、町内会未加入の人のゴミ捨て
  • 自治会、町内会の外から通勤途中にゴミを捨てていく
  • 資源ゴミ、小型家電などの持ち去り

一部戸別収集をしている自治体

東京都荒川区

荒川区では家庭ごみを自らゴミステーションに持っていくことが困難な高齢者や障がい者に対して戸別収集を実施しています。

  • 65歳以上の高齢者のみで構成されている世帯で、構成員全員が要介護2以上に認定されているか、同等の状態と認められる世帯
  • 障がい者(身体・精神1から2級・愛の手帳を所持している者)のみで構成されている世帯
  • その他区長が必要と認めた世帯

https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a030/shougaisha/shien/kateigominokobetusyu.html

福島県郡山市

郡山市では「要援護者ごみ戸別収集事業」を行っていて自分でゴミステーションにゴミを出すことが困難で親族などの協力が得られない方に対して個別にゴミを収集しています。

  • 要介護1~5の方
  • 身体障害者手帳(視覚又は肢体不自由)1級又は2級の方
  • 精神障害者保健福祉手帳1級の方
  • 療育手帳Aの方
  • その他特に必要性が認められる方

https://www.city.koriyama.lg.jp/soshiki/67/60533.html

ゴミの戸別収集を検討している鎌倉市

鎌倉市ではゴミステーションを取り巻く課題、多様化するライフスタイル、社会の高齢化など社会状況の変化を踏まえて戸別収集の導入を検討しているようです。その中でゴミの戸別収集を行うことのメリットとして以下の3つを挙げています。

  • 市民のごみ出し労力の削減
  • ゴミステーションに伴う様々な負担軽減
  • ゴミ出し責任の明確化により分別が進み、ゴミの減量につながる

そしてデメリットとしてはやはり収集に関するコストの問題です。

現在鎌倉市で検討されているゴミの戸別収集について鎌倉市民のアンケートについても掲載されています。

おウチの前でごみ出しピック~戸別収集ってどう思う?市民アンケート結果!

自治会や町内会の負担を無くすためにもゴミの戸別収集は検討の価値あり

僕が子供だった昭和50年頃、現在と比べればゴミの量も大幅に少なくゴミの分別も簡単でした。自分の庭でごみを焼却している家も多く、新聞や雑誌の資源ごみは年に数回リヤカー引いて子供たちが町内を回って廃品回収していました。そんなのんびりした時代と異なり現在ではゴミの量は大幅に増え、分別は複雑で住民も高齢化でゴミ捨てすら負担に感じるようになってきています。

ゴミの戸別収集にはコスト負担の面を含め課題は多いと思いますが持続可能な自治会運営のためにも検討してほしい課題です。ゴミを捨てる捨てないでご近所関係が悪くなるなんて切ないことです。何となく加入していないといけない雰囲気の自治会や町内会からボランティア色の強い自治会や町内会に変わっていくためにも自治体が自治会や町内会に期待する役割も変化していかないといけませんね。

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この記事を書いた人

k2yukiのアバター k2yuki 自治会長・ウェブ屋

当サイトの管理人です。2022年度に組長が回ってくるタイミングで自治会長をやる羽目になりました。500世帯位の自治会で試行錯誤しながら理不尽な要望も聞きながら何とかやっています。そんな僕が自治会長をやって気付いたこと、今後の自治会運営についての考えなどを記事にしています。本業はフリーランスのウェブ屋。1965年製。空いた時間には愛車ヤマハボルトで遊んでいます。

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