小学校の卒業式も終わり間もなく新学期ですね。大きなランドセルを背負った可愛らしい新入生の姿を見かける季節がやってきます。さて、そんな子供たちの登下校時の見守り活動をしている地域、学校も多いと思います。見守り活動を行うのはPTAだったり自治会や町内会などの地域の団体だったりしますが基本的に皆さんボランティアで活動されています。そんな地域で行っている子供たちの登下校時の見守り活動も継続が危ぶまれている地域もあります。
僕が自治会長を務めてきた自治会校区でも登校見守りボランティアの担い手不足に陥っています。今回は登校見守り活動の現状と今後の運営についてどうしたら良いか考えてみます。
活動の始まりはシルバークラブの発足から
小学生の登下校時の見守り活動は地域や学校によって状況は様々です。その地域の人口構成や道路事情、交通状況によっても左右される部分が大きいです。ですので参考になるかどうかわかりませんが僕が自治会長を務めてきた町内、校区においての登校見守り活動について検証してみます。
当校区の小学校は開校40年のまだ歴史の浅い小学校です。そんな校区において登校見守り活動が始まったのは約30年ほど前のことです。小学校周辺から宅地開発が進み道路も国道に抜ける環状線が整備されると共に住宅街を抜け道として使う通勤車両が大幅に増えました。
児童数も増加傾向にあった頃で登校時にいつ交通事故が起きてもおかしくないような状況でした。そこで当時発足したばかりの「シルバークラブ」の有志の方が登校時の信号機のない横断歩道や交差点での見守り活動を行うようになりました。
60歳で定年という時代から定年後も働くという時代へ
当時は60歳で定年を迎えて朝の時間に登校見守りを行ったり下校時に見守り活動を行う方は比較的多かったようです。また比較的活動的な方が多かったようでいつも賑やかに活動していたと聞きます。しかしながら現在では定年も延長されその後も70代まで働くという方が増えてきました。朝の登校見守りをする時間的な余裕がありません。
いつしか「シルバークラブ」で登校見守り活動を行うことは無くなり自治会組織のサポート団体の「住みよい町づくりの会」が主体となって行うようになりました。それでも登下校の見守り活動をしてくれる人は減少の一途です。
PTAと自治会組長にも参加してもらうことに
当自治会では毎朝5か所で登校見守り活動を行っています。それぞれの場所に2名程度は最低限必要なので毎日10名程度の人を確保する必要があります。「住みよい町づくりの会」のメンバーだけでは到底まわすことは出来ません。そこでPTAや自治会の組長にも登校見守り当番のローテーションに入ってもらうことにしました。しかしそれもそろそろ限界のような感じがします。
子供がもう小学校に通っていないのにどうしてそんなことしないといけないのか?保護者がやればいいでしょ?
ウチは共働きなので朝の時間に登校見守りなんてムリです。時間のある人にお願いできませんか?
とまぁこんな感じなわけです。
実際の所、定年延長で60歳過ぎても働く人は増えているようですし、共働きの家庭も増加傾向です。そもそもひと頃より児童数も大幅に減っているのでPTAの登校見守り当番も頻繁に回ってくるようになっています。世の中的に色々と余裕がなくなっている中でPTAの方々も負担に感じている方が多いのも事実でしょう。PTA活動自体も縮小したり廃止されていくという流れの中で登下校時の見守り活動だけを残していくという事も難しい状況です。
災害などのボランティアと同じように日々日常、自分の住んでいる地域においても望まれているボランティア活動は多くあります。そのようなボランティア活動に日常的に関わっていこうとする雰囲気作りが地域地域に必要なのかもしれませんね。
登下校見守り活動の現状を住民に周知することも重要
僕自身週に2日、登校時の見守り活動をしています。僕が見守り活動をしている道路は歩道のない住宅地の道路で道路幅は乗用車がようやくすれ違うことが出来る程度、緩やかなカーブの坂道になっており見通しの非常に悪い道路です。渋滞している環状線から国道へ出るための抜け道として利用されていて登校する児童のわずか30センチ横を車が通るような状況です。
上の写真ではそれほどでもないように見えるかもしれませんが、車が多いときは写真なんてとっている余裕がありません。この手前の「止まれ」の所で10台近くが並ぶなんていうことが日常的に起きています。保護者の方も住民の方も学校の先生も現状を見ればもう少し危機感を持つのかもしれませんが、そのような余裕もなさそうです。
今後、自治会のウェブサイトやSNSを構築していったときに自治会内の問題点や危険個所の共有をしていくことが大切かもしれませんね。かつては世間話。井戸端会議で情報共有していたのだと思いますが現在ではそのような場はほとんどないのでインターネット上で情報共有する必要がありそうです。
旗当番を廃止するPTAも
インターネット上には登下校の見守り活動についての様々な意見や事例が紹介されています。そんな中でもコロナ禍をきっかけに様々な活動が縮小または廃止されていったという現状があります。そのなかでもPTA活動の登校見守り活動・旗当番を廃止したという学校も見受けられます。
僕が自治会長を務めた校区では学校周辺の旗当番そのものは無くさないけど当番をPTAの委員が割り振るのではなく学校が名簿番号で割り振り、当日は学校へ行って学校においてある横断旗をもって見守るという形になったようです。これまでは横断旗を当番の人が次の人へ渡すという事をしていましたがその手間が無くなりました。それと同時に今日の当番が誰なのかわかりにくく、また横断旗が回ってこないので簡単に忘れてしまうようになると思われます。
数年後には実質的に廃止状態になるのではないかと危惧しています。それとは別に自治会内の登校見守りの当番はPTAの委員が無くなってしまったので登校見守り当番の割り振りそのものが出来なくなってしまいました。個人情報保護の観点から地域の児童名簿も提供されることは無いのでどうしようもありません。おそらくPTAとして登校見守り活動を継続していくことは難しいでしょう。
「地域で見守りましょう」という掛け声だけで…
文部科学省のウェブサイトに「登下校見守り活動ハンドブック」というものがあります。そちらを読んでみると冒頭部分に以下のように書かれています。
安全・安心な登下校の実現に向けて
- 全国で子供が登下校中に犯罪被害に遭うケースがみられます。被害の多くは、子供だけで行動しているときや、人の目が少ない状況で発生しています。
- こうした犯罪被害を減らすためには、地域全体で、登下校中の子供たちの見守り活動をすることが欠かせません。
- 一方で、見守り活動を含めた防犯ボランティア活動者数は近年減少しており、今、みなさんの協力が求められています。
大切なのはわかっているんです。多分多くの地域の方もPTAも学校の先生方も…
でもなかなか続けられないのです。「地域で見守りましょう」というだけでは人は集まらないですし協力も得られません。冒頭にも書きましたが定年を過ぎても働く人が増え、共働きの世帯が増え、それなのに子どもは減少しているためPTAなどの保護者の絶対数も減少しています。
さらに言えば住宅地を抜ける車の交通量は減ることがなく、高齢ドライバーも増加していることから道路の危険度は増していると考えられます。何かこう…根本的な所で何とかしないと解決しない問題だと思います。どうすればいいかはさっぱりわかりません。新年度どうなることやら…