2年間の自治会長も間もなく終わりとなります。この2年間の間、市の担当課から「自治会役員の男女の割合について」みたいなアンケートが毎年ありました。役員というと自治会長(町内会長)・副自治会長(副町内会長)・会計・書記あたりが対象となります。僕が会長を務めた自治会では今年度は自治会長と副自治会長が男性。会計と書記が女性でした。男女比は男性50%、女性50%です。
ちなみに来年度は副自治会長枠を2名に増やし、自治会長、副自治会長1名、会計が男性でもう一人の副自治会長と書記が女性です。男女比は男性60%、女性が40%です。一見、適切なのかな?と感じてしまいますが今年度の場合40名の組長さんのうち男性は11名。女性が29名です。そう考えると役員の男性比率は高いのでは?と考えられます。
自治会長に占める女性の割合
内閣府の男女共同参画局のウェブサイトに自治会長及びPTA会長に占める女性の割合の推移というデータがあります。それを見てみましょう。
この推移のグラフを見れば分かるように自治会長(町内会長)の女性の割合は非常に低いです。私が会長を務めた自治会でも自治会が組織されてから70年くらいになるかと思いますが女性が会長だったという話は聞きません。市の自治連合会の集まりなどに言っても女性割合はこのグラフの通り、もっと低い印象です。
同じグラフに表示されているPTA会長ですがこちらも男性が多いですね。僕がPTA会長をやっていたのはもう10年近く前のことですが、PTA会長は男性。副会長は女性というのが定番でした。副会長ではなく「女性代表」なんていう言い方をしている学校もあったと記憶しています。
普段の子育てや家事には男性が関わることが未だに少ないのに「会長」となると何故か男性ばかり、男性主体となるのはおかしなことです。そしてさらに言えばグラフの傾向から想像できるようにかつてはもっともっと男性中心の組織だったと思います。
PTA会長の女性の割合についてちょっと考えてみる
上のグラフでPTA会長の女性の割合が若干高いのは何故でしょうか?確かに「学校のことは母親に…」という家庭が多いという事も影響しているのだと思います。それはそれで問題だと思うのですが、別の背景もあるのではないかとも考えられます。
僕がPTA会長を務めたのは2013年と2016年です。2013年以降、PTA会長を女性がという比率が高くなる傾向が加速しています。この頃、何があったでしょうか?全国各地で「PTA不要論」が熱を帯びてきた時期でもあります。その頃からPTAの組織の在り方、運営の在り方についてそれぞれの学校単位のPTA、地域ブロックのPTA、市のPTA連合会で話し合われてきました。
その中でPTA活動の簡素化、ボランティア制度、役職や委員会のスリム化が進みPTA会長の存在意義も薄れてきました。僕の住む校区のPTA会長も現在は女性会長です。組織も構成も僕がPTA会長を務めてきた時と比べたら大違いです。そんな中でいちいち男性のPTA会長が偉そうに挨拶したりする組織運営は不要となってきました。その結果として「PTA会長は女性でもいいんじゃね?」みたいな流れになっているように見受けられます。
ただ、そのような考え方もやはり問題で、本来なら…
男なんかにPTA会長なんて任せられないわ。
あんまり役に立たないんですもの!
という雰囲気で女性がPTA会長を務めるという流れが望ましいと思っています。
ゆくゆくは市議会議員!
僕がPTA会長を務めていたとき、同時期に市内の別の小中学校でPTA会長を務めておられた方から3名が次の市議会議員選挙に立候補されていました。そう言われれば市議会議員や県議会議員の選挙公報で「経歴」の欄を見たりすると「PTA会長」とか「自治会長」「町内会長」というのをよく見かけます。
なるほど。名前を売るにはちょうどいいという事か…
そんな僕はPTA会長を2年、自治会長も2年…そろそろ政界に進出しますかねww
冗談はさておき、PTA会長や自治会長、町内会長に女性が少ないのは、もしかすると政治の世界においても女性が少ないのと同じ理由なのかもしれませんね。
自治会長・町内会長の高齢化も問題
PTA会長は男性であれ女性であれ自分の子供が卒業してしまえば「PTA会長」であり続けることは出来ません。強制的に世代交代していきます。(PTA会長であり続けたい人は基本的にいないので毎年のように交代していきますが…)しかし自治会長や町内会長は子供が成人しようが結婚しようが、自分が定年退職しようが会長を続けることが出来ます。
僕が会長を務めた自治会では自治会長の任期は「1年。ただし再任を妨げない」としており1年で交代することが多かったようです。ただ「自治会長代理」という謎の役職があって割と好き放題してしまうなんて年もあったようです。僕が自治会長を引き受けたタイミングはコロナ禍があけて様々な行事が再開しようかというタイミングでした。
あまりにも前年度の資料が乏しく、様々な行事を一から構築するようなことが必要でした。1年試行錯誤しながら進めましたが、次の会長に引き継ぐにあたりもう少し体系的に資料などをまとめておきたいと思い2年目の自治会長を引き受けました。
さて、この2年間で僕は市の自治連合会の会議や研修会などに出席しましたが他の自治会の会長はどう見ても僕よりかなり年上です。しかも、もう何年も自治会長をやられているようです。偏見かもしれませんが、この世代の男性はほとんど家事ができず、家のことは奥さんに任せきり。その割に外では偉そうにするという傾向にあります。そういう方たちは女性が会長を務めることに抵抗があるようです。そしてそういう人たちの前では多くの女性も男性に会長をさせておけばいいやと考えていることでしょう。
組長は女性が多いのに役員は男性中心になるのは何故?
冒頭で紹介した通り僕が会長を務めた自治会では、当番で回ってくる組長は男性の比率は4分の1です。面白いのが年度の終わりごろに来年度の名簿作成のために今年度の組長さんに以下のような調査票を渡しました。その調査票をもとに新年度の組長名簿を作成するのですが、その段階では男性の比率は6割以上です。
当自治会で行った自治会の役員、委員の希望調査票です。もしかすると活用したい方がいるかもしれないのでダウンロードして自由にご利用ください。
世帯主の名前を書いて提出する日本らしさ
上の調査票では6割以上が男性なのに実際の組長会議に出てくる男性は4分の1程度です。かつては電話は固定電話でしたので良かったのかもしれませんが、現在ではほとんどの方が携帯電話です。調査票で組長会に出席することのない世帯主の名前と携帯電話番号を記載されても役に立ちません。
これはおそらく日本特有のものと思うのですが、どこかで「代表は男性である」のが普通だと考えていて多くの方が何かにつけて「代表は男性」が普通と前提で行動するのかもしれません。その流れのままに「自治会長(町内会長)は男性で」と思い込んでいるのかもしれません。また、高齢の男性にとっては女性が自治会長や町内会長をやっていることに違和感を感じるのかもしれませんね。根本的にそこから正していかないといけないのでしょう。
組長会に女性(奥さん)に出席してもらうことで会長回避か?
これまでの考えを踏まえると現在においても自治会や町内会の組織では組長や班長は女性がやることが多く、会長をはじめとする役員を男性がやることが多い傾向にあります。それを前提に考えると…自治会長や町内会長を押し付けられたくないのであれば最初の組長会や班長会には奥さんに出席してもらった方が役員をさせられることを回避できるかもしれませんww。
実際、男女共同参画と言いながら自治会長や町内会長、PTA会長というようなことになると途端にしり込みしちゃう。すべての人がそうとは言いませんが、女性が前に出ることを嫌がったりする人は男女問わず一定数いるように感じます。
「自治会長や町内会長は男性」という風潮が未だに残る中、会長を引き受けたくないのであれば自治会の会議には奥さんに出席してもらうといいかも…なんて言ってないで女性でもどんどん自治会や町内会のリーダーとして活躍したもらいたいですね。
女性割合を増やすのも大切だけど若返りも大切
今回、自治会長や町内会長は男ばかりという視点で記事を書きましたが、同様に…いやそれ以上に、自治会長や町内会長は高齢者ばかり。ということも問題視しないといけません。50代後半で2年間自治会長を務めました。若いとは言いませんが自治会長や町内会長の中では若手の方です。自治会の中での組長さんも僕より上の世代の方が多いです。
年上の方が多いのはいいのですが…何かにつけて…
今の自治会長はろくに仕事をしない!
儂が自治会長のころは…
と言い出すのはいただけません。それを言いだすなら、
では、来年度自治会長やっていただけませんか?
となります。しかし自治会長を引き受けてくれることはありません。
近年、メディア等でも時々見かける「自治会不要論」これはかつての「PTA不要論」つながるところもあり組織構成のあり方、組織運営の在り方を根本的に見直していかないと本当に消滅しかねません。自治会や町内会は万が一の時のコミュニティーを守るための組織であり不要であるとは思いません。多くの住民が納得して運営できる自治会のあり方を模索していく必要がありますね。