自治会から見た公共空間のごみ問題

「きれいさ」と住民自治の関係

公園や街路を整備し、「きれいな町にする」ことは多くの人に歓迎されます。しかし、「きれい=良い町」とは必ずしも言えません。背景には、見た目を整えることが優先されるあまり、居場所を求める人や弱い立場にある人が排除されてしまう危うさが潜んでいるからです。たとえば、野宿者が公園で過ごせないようにベンチの形を変えるといった仕組みは、治安や美観を名目にしながら実際には排除の機能を果たしています。

自治会が行う清掃活動も同様に、「誰が参加できて、誰が参加しづらいのか」を考える必要があります。高齢者や体調に不安がある人、仕事や介護で忙しい世帯などが参加できないとき、それを「協力しない」として責めてしまえば、地域の分断を招きかねません。清掃や美化は住民の誇りを育む一方で、参加の在り方によっては「不参加者を取りこぼす」危険性があるのです。

つまり、ごみ問題は単なる環境や景観の課題にとどまらず、地域の包摂性を問う問題でもあります。「きれいにする」ことが、誰かの排除や差別につながらないよう、自治会は柔軟で多様な参加の形を認める姿勢が求められます。地域全体で支え合いながら美化活動を進めることこそ、住民自治の本来の役割ではないでしょうか。

自治会に必要な視点

ごみ問題は突き詰めれば「誰が担い、誰が負担するのか」という永遠のテーマに行き着きます。ごみ箱の設置や清掃活動は、一部の住民や役員だけで支えるには限界があり、自治会単独で解決できる課題ではありません。行政・企業・学校・市民団体といった多様な主体との連携が不可欠です。

その際に有効なのが、ICTを活用した仕組みです。スマートごみ箱による収集効率化や、アプリを通じた情報共有、費用や作業負担の「見える化」によって、不公平感を減らし合意形成を促すことが可能になります。こうした技術は、自治会の現場を支える大きな力となり得るでしょう。

同時に、豊橋市の「530運動」が示した「自分のごみは自分で持ち帰る」という精神は、今なお大切にすべき価値観です。その理念を受け継ぎつつ、現代の多様化した社会状況に合わせた新たな仕組みを模索することが、自治会の役割となります。

ごみ問題は決して後ろ向きな負担だけではなく、住民が協力し合い、地域をより良くするための「きっかけ」にもなり得ます。自治会がその中心に立ち、負担を共有しながら柔軟に仕組みを整えていくことこそ、持続可能な地域づくりへの道筋といえるでしょう。

1 2 3 4 5 6
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Katsuyuki Susakiのアバター Katsuyuki Susaki 自治会長・ウェブ屋

当サイトの管理人です。2022年度に組長が回ってくるタイミングで自治会長をやる羽目になりました。500世帯位の自治会で試行錯誤しながら理不尽な要望も聞きながら何とかやっています。そんな僕が自治会長をやって気付いたこと、今後の自治会運営についての考えなどを記事にしています。本業はフリーランスのウェブ屋。1965年製。空いた時間には愛車ヤマハボルトで遊んでいます。