新年度が始まって多くの自治会や町内会では新体制となって総会も開催され、それぞれの役員や委員も決まり本格的な自治会、町内会運営が動き出したところではないでしょうか?夏祭りなどの準備も始めないとあっという間に時間は過ぎていきます。さて、そんな中で自治会費や町内会費の集金も行われているのではないでしょうか?物価高の傾向は収まるところが見えず年金が頼りの高齢者ばかりでなく、実質賃金が下がり続ける多くのサラリーマン世帯でも自治会費や町内会費はそれなりの負担に感じるはずです。
中にはなかなか払っていただけない世帯もあるかもしれません。また、自治会や町内会の運営に不透明な所があるなどして自治会費や町内会費の支払いを拒否する世帯もあるかもしれません。自治会費や町内会費を払わないとどうなるのか考えてみたいと思います。
自治会、町内会の立場から
自治会費や町内会費を払わない人がいる場合、自治会の立場から見ると様々な深刻な問題点が浮上します。これらの問題点は自治会や町内会の運営やコミュニティ全体の活力に影響を与える可能性が高いです。自治会や町内会の立場から会員の一部が会費の支払いを拒否したときのことを考えてみましょう。
自治会員、町内会員が会費の支払いを拒否したことによる問題点
まず、自治会費や町内会費を払わない人がいると、当然ですが自治会や町内会の財政が悪化します。多くの自治会や町内会では年度の初めに予算を立てて年間に開催予定のイベントや行事の予定を計画します。自治会費や町内会費は、これらのイベント、行事の開催のため、公民館や集会場などの共用施設の維持管理、防犯灯の電気代、街頭消火器の整備など、様々な活動の資金源となります。この資金が不足すると、これらの活動が円滑に進められなくなり、地域全体の生活環境や安全性に悪影響を及ぼします。
防犯灯の電気代とか街頭消火器の設置費用が自治会費で負担しているとか自治会長やるまで知りませんでした(・・;)
また、自治会費を払わないことで公平性が損なわれるという問題もあります。多くの住民が自治会費を払っている中で、一部の人が支払いを拒否することで、不平等感が生じます。この不平等感は、住民間の信頼関係を損ね、コミュニティの結束力を低下させる恐れがあります。結果として、地域の住民同士の協力や助け合いの精神が薄れ、コミュニティ全体の活力が低下します。
さらに、自治会費を払わないことが常態化すると、他の住民もそれに倣う可能性が高まります。これは「払わなくても問題ない」という意識が広がることを意味し、長期的には自治会の存続自体が危ぶまれる事態になりかねません。
あなたの住んでいる地域の自治会、町内会での会費の使われ方を知っていますか?ちゃんと会計報告をチェックしていますか?一般的にはこのようなものが自治会費、町内会費で使われています。
- イベント・行事の開催費用
- 公民館・集会場の光熱費などの維持管理費
- 地域の防犯灯の設置費と電気代
- 地域の街頭消火器の設置費用
- 防災備蓄品の購入費用
- 校区自治会等上部組織への負担金
自治会費や町内会費を払ってもらうために
全ての自治会員、町内会員に会費を支払ってもらうためには、まず会費の重要性を住民に理解してもらうことが大切です。定期的に自治会の活動報告を行い、自治会費がどのように使われ、地域にどんな効果をもたらしているのかを具体的に説明しましょう。自治会長や町内会長の一存で物事が決まっていくなんて言うのは論外で、組長会、班長会、役員会などで常にお金の使い方について話し合い、その内容は回覧板で会員に知らせることが大切です。こうすることで、住民は自治会費や町内会費を支払う意味を感じやすくなります。
また、自治会費を払わない理由を把握することも重要です。例えば、経済的な理由で支払いが難しい場合には、分割払いの制度を導入するなど、柔軟な対応を考えましょう。さらに、自治会費を支払った人に対して、地域イベントの優先参加権や特典を提供するなどの方法も効果的です。
住民とのコミュニケーションを活発にすることも大切です。住民が気軽に意見を言える場を設け、自治会との対話を促進することで、住民の自治会活動への関心と参加意識を高めることができます。自治会役員が定期的に住民と直接対話を行い、信頼関係を築くことも大切です。
また、毎年行われる行事やイベントも果たして時代にマッチしているのか?無駄な経費はないのか?など常に検討を重ねることも大切です。例えば夏祭り露店をキッチンカーなどの業者に任せてしまえば自治会や町内会の人的資金的負担も軽減できるかもしれません。そういった改善を積み重ねることで自治会費、町内会費を削減できているところもあります。
最後に、自治会規約を見直し、自治会費の支払いを義務付ける法的措置を検討することも考えられます。ただし、これは最後の手段とし、まずは住民との協力関係を強化することが優先です。
いずれにしても自治会や町内会はその地域に住む人たちの大切なコミュニティです。様々な対策を通じて、自治会は安定した運営を確保し、公平な運営を行うことで、地域コミュニティの結束力を高めることができます。住民全員が安心して暮らせる健全なコミュニティを維持するために、みんなで協力していけるといいですね。
大切なのは自治会や町内会の透明性の確保、積極的な情報発信、住民の意見を取り入れる、新しい方法にチャレンジしていく、の積み重ねと感じます。
組長、班長の負担について考えてみる
自治会費、町内会費を集金する班長さんの負担について考えると、その回避の集金という役割が自治会や町内会にとって大変重要でありながら、同時に精神的にも身体的にもどれほど大変なものかが浮き彫りになります。班長さんの負担を軽減するための工夫も必要です。
組長さん、班長さんの負担
まず、自治会費や町内会費の集金は時間と労力を要します。組長さんや班長さんは定期的に各家庭を訪問し、会費を集めなければなりません。特に忙しい家庭や不在がちな家庭を訪れるのは時間がかかり、何度も訪問する必要がある場合もあります。この作業は、組長さん、班長さんのプライベートな時間を大幅に奪うことになります。
さらに、会費を支払わない家庭への対応も大きな負担です。支払いをお願いする際に、直接的に交渉しなければならない場合があり、これが精神的なストレスになることもあります。特に、対立や誤解が生じると、組長さんや班長さんにとって非常に辛い経験となります。この役割が自治会や町内会を退会したくなる理由の一つであるともいえます。
また、集金したお金を管理し、正確に報告する責任も重いものです。会費を紛失したり、計算ミスが発生した場合、組長さんや班長さんが責任を負わなければならないこともあり得ます。これは、組長さんや班長さんにとって大きなプレッシャーです。
組長さん、班長さんの負担軽減のために
組長さんや班長さんの負担を軽減するためには、まず自治会費、町内会費の支払い方法を見直すことが重要です。例えば、銀行振込や自動引き落とし、オンライン決済などの方法を導入することで、班長さんが直接集金する必要がなくなります。これにより、時間と労力の大幅な削減が期待できます。
次に、自治会費や町内会費の支払いを促すコミュニケーションの改善も効果的です。例えば、定期的な自治会のニュースレターを回覧することやウェブサイトで、自治会費の使い道や重要性をアピールし、住民に支払いの意義を理解してもらうことができます。これにより、住民が自発的に支払う意欲を高めることができます。
さらに、組長さんや班長さんが複数の人と協力して集金を行う体制を整えることも考えられます。例えば、班ごとに数人の担当者を置き、役割を分担することで、一人あたりの負担を減らすことができます。また、集金活動をチームで行うことで、互いにサポートし合い、精神的な負担も軽減されます。
最後に、自治会や町内会として組長さんや班長さんへの感謝とサポートを忘れないことが大切です。定期的に感謝の意を伝えたり、必要なサポートを提供することで、組長さんや班長さんが安心して役割を果たすことができるようになります。また、組長さんや班長さんの意見を積極的に取り入れることで、より良い集金方法や体制を作り上げることができます。自治会や町内会のような組織においては常により良い方法を求めて改善してく必要があります。昨年度と同じ事をやるだけの方が何も考えなくて楽なのかもしれませんがそれが積み重なると組織運営が古すぎてうまくいかなくなります。
多くの自治会や町内会では未だに組長や班長の戸別訪問による集金方法がとられています。地域差もありますし、複数の集金方法を取っているところもあるので確定的なデータはわかりませんが概ね以下のような状況です。今後はオンライン決済、コンビニ決済、スマホ決済など多様化していくのでしょう。
現金 | 55% |
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銀行振込 | 25% |
自動引き落とし | 10% |
オンライン決済 | 4% |
郵便振替 | 6% |
自治会費、町内会費を払わない会員の立場から
自治会費や町内会費を払わない会員の立場から考えると、彼らにも様々な理由や背景があることが理解できます。その理由や背景を考察し、またどのようにして解決したらよいかについても考えてみましょう。
会員が会費を払わない理由
まず、経済的な理由が考えられます。コロナ禍での収入減、昨今の物価高騰など特に年金が主な収入となる高齢者世帯、低所得世帯や経済的に困難な状況にある家庭では、毎月の出費を抑えるために自治会費や町内会費を支払うことが難しい場合があります。これらの家庭にとって、自治会費は他の生活必需品や支出と比較して優先度が低くなります。子ども食堂のようなところが増加しているような現代ではどうしようもない事なのかもしれません。
次に、自治会や町内会の活動に対する関心や信頼の欠如が理由として挙げられます。例えば、自治会の活動がどのように地域社会に貢献しているのかが十分に伝わっていない場合や、過去に自治会の運営に対して不満を持った経験がある場合、会費を支払う意欲が低下することがあります。
また、新しく引っ越してきた住民や若年層の住民の場合、自治会や町内会の活動に対する理解が浅く、会費を支払う意義を感じられないこともあります。この場合、自治会の存在自体に気づいていないことすらあり得ます。
自治会費や町内会費を払いたくなる組織作り
これらの問題に対処するためには、まず経済的に困難な会員への配慮が必要です。例えば、自治会費の分割払い制度や、収入に応じた減免措置を導入することが考えられます。こうした柔軟な対応により、経済的な理由で会費を支払えない会員も負担を軽減しつつ協力できるようになります。
また、基本的な自治会費や町内会費は最低限に設定し行事やイベントごとで参加費や協賛金を募るという形を検討するのも良いかもしれません。私が会長を務めた自治会では会費を値下げする目的ではなく集会場の建て替えを見据えた積立のためにですが…お祭りの時に実行委員会を組織し自治会とは別に協賛金を集める形で自治会からの支出を減らすことが出来ました。
また、自治会や町内会の活動内容を広く知らせることも重要です。定期的なニュースレターを回覧板で回したりウェブサイト、SNSを通じて、活動報告や会費の使途を明確に伝えることで、住民に対して透明性を高めることができます。これにより、自治会費を支払う意義を理解してもらいやすくなります。
さらに、新しく引っ越してきた住民や若年層に対しては、歓迎イベントや説明会を開催することが有効です。自治会の役割や活動内容を直接説明し、コミュニティの一員として歓迎することで、彼らが自治会活動に興味を持ち、積極的に参加するきっかけを作ることができます。
最後に、会員からのフィードバックを積極的に取り入れることも重要です。定期的なアンケート調査や意見交換会を通じて、住民の声を聞き、自治会、町内会活動の改善に反映させることで、住民全体の満足度を高めることができます。これにより、会費を支払う意欲も向上するでしょう。
自治会や町内会運営の透明化を進めるためにもデジタルを活用した情報発信は必須と言えますね。