自治会から見た公共空間のごみ問題

ごみ箱設置をめぐるジレンマ(奈良公園の事例)

奈良公園では、長年「ごみは持ち帰る」という方針を貫いてきました。しかし観光客が急増する中でポイ捨てが目立ち、シカがごみを誤食する深刻な事態が続いたことから、ついに40年ぶりにスマートごみ箱の設置に踏み切りました。観光客にとっては「ごみ箱があるのが当然」という感覚が強く、設置によって利便性や安心感が生まれた一方で、運営側には新たな課題がのしかかっています。

ごみ箱を置けば、ポイ捨ての減少や景観の改善といった効果が期待できます。しかし、同時に「維持管理費」という現実的な問題が必ず発生します。ごみの回収や処理にかかるコストを、誰が負担するのか。奈良公園では行政が担っていますが、全国の観光地や街中に視野を広げれば、その財源を巡る議論は避けて通れません。観光客か、商品を売る事業者か、あるいは税金で全てまかなうのか?答えは簡単ではありません。

この「負担の所在」という問題は、実は自治会活動でも同じです。地域の公園や集会所にごみ箱を設置した場合、回収や清掃を誰が担うのか。役員や一部の住民に負担が集中すれば不満や疲弊につながりますし、行政が必ずしも対応してくれるとは限りません。結果として、ごみ箱は設置しても維持できず、放置されるケースも珍しくありません。

だからこそ、単に「ごみ箱を置くか置かないか」という二択ではなく、「誰がどのように管理するのか」を事前に合意形成することが不可欠です。観光地の事例を教訓として、自治会も行政や事業者との協働を視野に入れた仕組みづくりを進めるべき時期に来ているのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

Katsuyuki Susakiのアバター Katsuyuki Susaki 自治会長・ウェブ屋

当サイトの管理人です。2022年度に組長が回ってくるタイミングで自治会長をやる羽目になりました。500世帯位の自治会で試行錯誤しながら理不尽な要望も聞きながら何とかやっています。そんな僕が自治会長をやって気付いたこと、今後の自治会運営についての考えなどを記事にしています。本業はフリーランスのウェブ屋。1965年製。空いた時間には愛車ヤマハボルトで遊んでいます。