自治会や町内会を運営している中で特定の政治家や政治団体との関りには注意が必要です。特に地方自治体の議員、市議会議員や町議会議員、村議会議員との関りは長年のしがらみ等もあり難しい問題です。自治会や町内会は地方自治法第260条の2に基づいて形成された認可地縁団体で「特定の政党のために利用してはならない。」と規定されています。
しかしながら自治会推薦、校区推薦などの言葉も残っており地域によっては当然のように自治会ぐるみで選挙活動の応援をしていたりするところもあります。実際、僕が自治会長を務めている自治会においても「校区推薦」の議員候補を応援しなければならないというような状態です。そのあたりの経験も踏まえつつ自治会、町内会と政治家、選挙活動との関わり方についてまとめます。
自治会・町内会活動と政治・選挙との関係
自治会や町内会がより良い地域社会を形成することを目的として特定の政治家を支援することは禁止されていません。ですから自治会や町内会が例えば市議会議員選挙などで特定の候補者を推薦すること自体は公職選挙法に違反するものではありません。
しかし町内会や自治会に加入する住民には様々な考えの方がいるため住民の合意形成が難しく、自治会推薦や校区推薦に同意できない住民からの批判や異議が唱えられ問題に発展する可能性も否定できません。
また当然ですが自治会員や役員に対して自治会が推薦した候補者に投票を強要したり、自治会が推薦した候補者の後援会活動を手伝わせたり、これらを強要することは出来ません。
一方で自治会や町内会活動において政治家や議員との関係は、地域の発展や問題解決のために時に重要な役割を果たすものと言えます。自治会推薦、校区推薦の市議会議員が当選し、その後の議員活動において適切な関係が築かれることで、地域の声を政治に届ける橋渡し役や、地域のニーズや課題を理解し、適切に議会で政策提案を行うパートナーとしての役割が期待できます。
自治会・町内会で推薦した議員との適切な関係は?
- 議員とのコミュニケーション形成
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政治家や議員とのコミュニケーションは重要です。自治会、町内会の組長会議や役員会など定期的な対話や意見交換の場を設けることで、地域の声や要望を共有し合うことができます。その声を議会などの提案として市政などに届けてもらうことが出来ます。
- 地域の問題解決
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政治家や議員は自治会や町内会の地域の課題や問題に対する提案や支援を行うことが期待されます。地域のニーズに応える政策や予算の確保に向けて協力をもらえることを期待できます。
- 議会での地域の代表としての役割
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政治家や議員は校区や自治会の地域住民の代表としての役割を果たします。地域の声を政府や行政機関に適切に届けるための連携することで地域の悩みの解決につながりやすくなることが期待されます。
自治会・町内会で推薦することの問題点
- 利益が偏ることの問題
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政治家や議員との関係が過度に密接になると、特定の利益集団の声が優先される可能性があります。特に長年にわたって自治会長をやっている人の声が通りやすくなり他の自治会の声が届きにくいという事が良くあります。公平な意見収集と代表性を保つことが重要です。
- 地域活動の政治利用という問題
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政治家や議員が地域活動を選挙活動のプラットフォームとして利用することが問題となることがあります。特に与党の議員の場合、道路整備や公園整備など予算をとるために県議、国会議員とのパイプを持っていることを優位に使う傾向があります。政治家はその地域のために働くのではなく全体のために働くべきで、地域活動と政治活動を分けることが求められます。
- 透明性が維持されているかという問題
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政治家や議員との関係が自治会長や一部の役員との関係性の中で非公開で進行する場合、地域住民の信頼を損なう可能性があります。透明性を保ちつつ、公正な活動を行うことが大切です。
はじめての市議会議員選挙の後援会活動
僕が自治会長を務めている自治会はある小学校区の中にあり校区自治会の中には僕が会長を務める自治会を含めて4つの自治会で構成されています。これからの話は令和5年4月に行われた統一地方選挙の投票日までの出来事です。校区在住の現職市議会議員、前回の選挙も校区推薦の議員として新人で立候補し当選しています。今回の選挙も校区推薦の候補者として2期目の当選を目指します。
令和4年のある日の校区自治会役員会の席で(1)
校区の自治会では月に1回程度、各町自治会の自治会長と副自治会長で役員会を行い校区の行事の打ち合わせや市からの依頼などの取りまとめなどを行っています。その会議に時々その校区推薦の市議会議員も顔を出します。僕自身は特に応援しているわけでも無く、ただ校区に住んでいる市議会議員というふうに思っていました。
そんな中、校区の自治会長が
そろそろ市議会議員選挙の準備を進めんといかん。
鈴木君(現職市議・仮名)大丈夫?
今からしっかり準備しないと2期目は厳しいんだよ。
と言い出しました。
その時、僕はは単に校区自治会長はその市議会議員に「早めに準備しなさいよ」というつもりで行っただけだと思っていました。
令和4年のある日の校区自治会役員会の席で(2)
さて、そんな校区自治会長の発言のあった次の校区自治会役員会の席で別の町の自治会長が何やら資料を作ってきて配布しました。それは前回の市議会議員選挙の時に作った資料のコピーみたいなものでした。選挙投票日までの日程がまとめられていて後援会の名簿も作成されています。そしてその名簿には僕の名前も。肩書は顧問みたいな感じで単なる当て職といった感じでした。
実際に選挙活動する人たちの名前を見ると「ああ、この人たちが選挙運動するんだな」という感じのものでした。ですからその時は大したことは無いと思っていました。
まぁ、名前を名簿に載せるだけの感じか…
しかたないな…
令和4年のある日の校区自治会役員会の席で(3)
選挙の告示日が近づくにつれて、だんだん雲行きが怪しくなってきました。議員のパンフレットやらハガキを大量に渡されたり選挙事務所の開設準備やら事務所開きなどの行事に駆り出されたりその他どんどん勝手にスケジュールを決められていきます。反論できるような余地もありません。挙句の果てに議員の演説会での弁士までやらされることになっています。
特に応援していないので応援の演説なんて何言えばわかんないし、やる気ないですよ。
すると、弁士用の例文まで作成してくれて渡されました。そこに書かれているのはもういかにもという感じの文章で覚えるのもうんざりです。
こんなの覚えれないんで、まぁ自分の言葉でしゃべりますよ…
選挙告示・選挙運動に突入
ついに選挙の告示日を迎えました。選挙期間は1週間と短いですが、ほぼ毎日のように選挙事務所での当番があったり選挙カーのドライバー、演説会での応援演説…もう苦痛でしかありません。
だって、応援していないんですから…
応援演説も「私も応援しています」とか「ぜひ鈴木さんに投票を」とか口が裂けても言えません。
だって、応援していないんですから…
前回の選挙の投票率、ご存じですか?
40パーセントですよ。
特にこの校区は投票率が低いんです。
投票率の低さは深刻な問題です。
皆さんの意見を市政に反映させるためにもまずは選挙に行きましょう!
みたいな感じで応援しているようで応援はしていない応援演説をしてきました。それを校区自治会長は
演説上手いねぇ。
さすがPTA会長とかやってただけあるねぇ!
まぁ、応援はしてませんけどね(笑)