PFIと地域共生のこれから
斎場の再整備にPFI方式が採用されたことについて、私は必ずしも否定的な立場ではありません。老朽化が進んだ施設を、限られた財政の中で更新し、より多くの市民にとって快適で機能的な空間にするために、民間の資金やノウハウを活用するという考え方には一定の合理性があると感じています。
実際に新しい斎場は、火葬炉の無煙無臭化、高断熱化、省エネ性能の向上など、技術的にも評価できる点が多くあります。また、建築としての景観や設備の清潔さなど、訪れる人に配慮された設計も感じられます。そうした意味では、PFIによる整備は一定の成果を上げていると評価してよいでしょう。
しかしながら、公共施設というのは単なる「機能を提供する建物」ではありません。そこに暮らす地域の人々の生活に溶け込み、時に支えとなり、時に共存を模索していくべき存在です。PFIのように契約によって多くの内容が事前に決まり、運用の柔軟性が乏しくなる仕組みでは、地域住民の声や現場の変化に対応しづらいという構造的な課題も見えてきました。
私たち自治会が要望した遊歩道や避難所活用など、決して無理な提案ではなかったはずのアイデアが採用されなかったことは、単なる「意見が通らなかった」という問題以上に、「地域の声が仕組みに反映されにくい制度設計」そのものの問題を浮き彫りにしています。
これからの公共施設整備において、PFIを含む民間連携がますます重要になっていくことは間違いありません。しかしそれと同時に、地域住民の声をいかに拾い上げ、反映させていくかという「仕組みの柔軟性」や「説明と対話の丁寧さ」が、今後ますます求められていくのではないでしょうか。
斎場という施設は、人の最期を迎える大切な場所であると同時に、地域とともにあるべき公共空間です。今後も私たち自治会として、施設の運営状況を見守りつつ、市や事業者に対して必要な意見を伝え続けていく姿勢を持ち続けたいと思います。