今日は当市の小学校の入学式です。そして明日は中学校の入学式。保護者の方々はお子さんの成長がうれしい反面、小学校や中学校においてのPTA活動にビクビクしている方もいるかもしれませんね。役員や委員をやらなきゃいけなかったり半ば強制的な行事参加とか様々なうわさも飛び交っていたりします。
PTAの組織というのは各学校の保護者と教職員によって組織された任意加入の社会教育関連団体です。加入の法的根拠はなく全ての児童と生徒のための無償のボランティア活動を行う団体です。しかし現状では任意の団体であるにもかかわらず小中学校入学と同時に半ば当然のようにPTA会員になっていて、そして当然のように何かの委員が割り振られたりします。
実はPTA会長も経験済み( ´艸`)
実は僕は長女が小学6年生の時と中学3年の時にPTA会長を務めたことがあります。基本的に頼まれると断ることが出来ない損な性格なんですが、今考えればいい経験でしたし人付き合いの幅も広がりました。未だに当時一緒にPTA活動をした人たちと交流があったり仕事以外での友人が出来たのも収穫と言えます。
当時、全国のPTAで言われ始めたのが「PTA不要論」です。インターネットやSNSの普及によりPTA活動を敬遠したい方たちが「PTA不要論」の声を上げ始めました。タレントの菊池桃子さんが「一億総活躍国民会議」で「PTA活動は任意なのに保護者全員が参加しないといけない雰囲気がある」という指摘をし、働く女性にとってPTA活動が重荷になっているという訴えをしたのも同じころです。
「加入は任意の団体」「加入するのが当然という雰囲気がある」「何かしらの役が回ってくる」
町内会や自治会と似ていますね。
現在の小学校のPTAは…
僕が小学校のPTA会長をやっていたのはちょうど10年前のことです。PTA役員の仕事は多岐にわたり、運動会や学芸会のお手伝い、バザーの開催、校区自治会と連携した防災訓練、その他様々な学校行事のお手伝いを行いました。他にも委員会がいくつかあってそれぞれ活動をしていました。また、会長、副会長は校区外での活動や研修も多く、僕は市内の給食の献立を考える委員会に参加したり、隣の三重県で開催されたPTA全国大会に動員されたりもしました。
確かにPTA活動には不要と思われる活動も多いです。「PTA全国大会とかいらないでしょ?」とか思ったりもしますが「PTAが不要」とは僕は思いませんでした。「PTA不要論」を声高に言う方たちの多くは「役員や委員をやりたくない」からという理由によるものがほとんどです。PTA活動のすべてを否定してしまったら現状では学校運営は成り立たなくなります。
そこで当時、先進的に学校のPTA組織を変えていったところはPTAを完全なボランティア組織にしていきました。その結果どうなったでしょうか?ボランティア活動の意識が小さい日本においては「誰かがやってくれる」と考える保護者が多く、学校行事が廃止されたり縮小されたりしていきました。
コロナ禍もありその傾向は一層進んでしまっている様子です。登下校時の交通安全パトロール、地域と連携した防災訓練、地域との交流の場であった夏まつりへの参加…これらの行事、活動はほとんど無くなってしまいました。
学校のことは学校の先生がやるべきでしょ?
PTA不要論の話の中で必ずと言っていいほど出てくる意見がこれです。
学校のことは学校の先生や職員がやるべきでしょ?それが仕事なんだから。保護者の助けを借りるのはおかしいでしょ?
この理論は自治会不要論においても出てきます。
自治会や町内会がやってることって本来は行政がやるべきことでしょ?何のために税金納めてるの?
同じ考え方ですよね。
現実問題として学校現場においても自治会、町内会の現場においてもこの理論は全く通用しません。学校においても市役所等においても圧倒的に人手が足りませんし予算的にも無理でしょう。この考え方を通そうと思ったら国の予算の話になってしまうので現実的ではありません。何年もかけて政治で変えていくという事は良いと思いますが「今年はどうしますか?」という話なので解決策になっていません。
ボランティアに参加する意識をしっかり持つ必要がある
PTAの役員や委員を半ば強制的にやらされることはいいとは思いません。しかし、やらされているその期間は何だかんだ言って学校に出向く機会が増えたり他の保護者の方と交流したり、終わってみれば「やってよかった」となることが多いですし、そう意見を耳にします。
PTA活動をボランティア制にして「出来るときに参加する」なんていう仕組みに変えているところも多いと聞きます。しかしそれを取りまとめる人に多くの負担が生じます。それが先生なのか保護者なのかはわかりませんが…そして「出来るときに参加する」人も年度によってはほとんど集まらないかもしれません。そんな時はどうするのでしょうか?
この記事を読んでいる方は、今まさにPTA活動について悩まれているのかもしれません。お子さんの通う学校のPTAはどんな形式でしょうか?もしボランティア制を採用しているのなら「出来るときには参加する」なんていうゆったりした考えではなく「出来る時間を積極的に作って参加する」という意識が必要です。
これまでのPTA活動が強制的に参加させられていたとしたら…これからのPTAは積極的に参加しないと様々な学校行事、学校運営に支障が出てくることは間違いないでしょう。
PTA活動と自治会、町内会活動の違いについて
PTA活動と自治会や町内会活動、どちらも任意の団体なのに半ば強制的に加入させられ役員や委員をやらされる…似ているようですが違いも結構あります。その辺りをまとめてみました。
上部組織について
PTA活動は基本的には各学校での活動です。PTA界では「単P」なんて呼んだりします。本来は各学校だけのPTA組織でもよい気がするのですが、実際にはそうではありません。当市の場合、市内を12のブロックに分けてそのブロックの中に地域の小中学校の単Pがあります。それぞれのブロックのPTA会長が持ち回りで「ブロック長」を担当し、年に一回「ブロック研修会」というものを開催していました。
コロナ禍でこのような研修会は行われなくなった様ですが僕がPTA会長をしていた時には市内のホテルを借りて研修会と懇親会を行っていました。娘が中学生の時にはそのブロック長が回ってきたので研修会の準備が大変だったことを記憶しています。
それだけではありません、さらに市内全部の単Pで組織される市PTA連絡協議会…いわゆる「市P」。そしてさらに上部の組織「県P」、そして「東海北陸ブロックP」、そして「日本PTA全国協議会」まであります。これらの組織運営には個々の児童生徒から集められるPTA会費の一部が上部組織に上納されるような仕組みになっていて日本PTA全国協議会には児童生徒の世帯当たり10円が納められています。全国からですからその金額は膨大なものとなります。
一方、自治会や町内会にも全国自治連合会という組織はありますが加入していない県も多いようでウェブサイトも内容は乏しいです。当市は市の自治連合会が組織されていますが県には組織されていないようです。市の自治連合会では研修会など開催していますがPTAのように動員されるという感じではなく参加自由な雰囲気です。
事務局について
PTAにしろ自治会や町内会にしろ様々な会議をしたり行事の準備を行います。PTAの場合これらの事務的な準備は基本的には学校の先生が行ってくれます。ですから保護者側のPTA役員は会議当日に担当の先生から教えてもらったり必要に応じて話し合いをして進めます。担当の先生は基本的には前年度の資料などから計画を立てたり資料を作成します。必要に応じて中身を更新していって活動を進めます。ですから保護者側のPTAの事務負担はほとんどありません。
一方で自治会や町内会の場合、事務局という存在がありません。市の自治連合会には市役所の方が事務局として資料の作成などしてくれているようですが個々の自治会や町内会はそのようなものはありません。ですから資料の作成と準備、すべて役員でこなさないといけません。資料の作成は前年の自治会長からデータを引き継いで作成したりしますが年度によって作成する人のスキルが異なるため非常に扱いづらいです。
僕が自治会長を務めたのはコロナの終息期。前年度までは組長会議もあまり開かれず、行事もほとんど無かったので参考資料がほとんどありませんでした。行事の行われていたころの資料を開いてみるとオープンオフィスで作成されてものまであり時代の移り変わりを感じてしまいましたw
終わりがあるのがPTA、終わりがないのが自治会・町内会
PTA活動というのは高校でも多少はありますが基本的には小中学校の時だけです。子供が卒業してしまえばPTA会費を払うことも何等かの役が回ってくることもありません。しかし自治会や町内会は違います。その地域に住んでいる以上、自治会や町内会への関りは常に存在します。
そう考えてみるとPTA活動は人生の中でほんの一瞬の時期です。わが子が通う学校運営に関わることはステキなことですし有意義なことだと思います。僕自身は2人の子供の小中学校でPTA役員を7年やりました。仕事にも差し支えあるし大変な部分も多かったです。しかし子供たちが通う学校の様子、先生方のことがよく分かりやってよかったと思っています。
PTA活動、まずは積極的に!
お子さんの授業参観で、先生が「わかる人手を挙げて~」なんて言ったときに、自分の子がモジモジして手を挙げなかったりすると「もっと積極的に!」とか思いませんか?
まずはお父さんお母さんから積極的に手を挙げることをお子さんに見せてあげましょう。PTA活動も順番が回ってきて嫌々やらされるのと自分から手を挙げてやってみるのとではきっと違いますよ。お子さんと共に楽しい学校生活を送りましょう。