「自治会長と後援会長を兼ねること」のどこが問題になりうるか
政治的中立性の観点
自治会は地域に暮らす多様な住民を代表する立場にあり、思想や政党支持に関係なく誰もが安心して参加できる場であることが求められます。しかし、その代表者である自治会長が特定の候補者や政党と明確に関わることで、住民から「自治会活動に偏りがあるのではないか」という疑念を招きかねません。特に回覧板や集会など自治会活動の場で政治色が感じられると、住民同士の信頼関係にひびが入り、参加意欲を低下させる恐れもあります。中立性の維持は自治会の存立基盤そのものに直結しているのです。
選挙運動との線引き
公職選挙法では、特定の候補者を支援する「選挙運動」や、投票依頼につながる「事前運動」「推薦行為」などは厳しく規制されています。自治会組織として候補者を推すような行為は、法的に問題を生じる可能性があるほか、住民からの反発も招きかねません。また、後援会活動に自治会員を動員する形で名簿作成やポスター配布、応援演説への参加を求めることは、強制や暗黙の圧力となり得ます。こうした線引きを誤ると、自治会そのものが法令違反や不信感の対象となってしまうのです。
住民の合意と透明性
自治会は住民全体の合意を基盤に成り立つ組織であるため、自治会長の後援会活動に関する情報を役員会や総会で共有し、承認を得ることが欠かせません。これを怠ると「知らないうちに自治会が政治活動に関与していた」という不信感を生み、住民の分断を招く恐れがあります。特に影響力の強い会長の存在がある地域では、形式的には自由でも実質的に参加や協力を断りにくい雰囲気が生じやすく、透明性と説明責任が一層重要となります。明確なルールと公開姿勢が信頼を守る鍵となります。