自治会費・町内会費と宗教色のある神事の線引き

自治会費の本来の使途は「公共性」と「公平性」
自治会費は地域住民から集められる会費であり、誰もが平等に恩恵を受けられる事業に使うことが前提です。防犯灯の電気代や防災資機材、掲示板や回覧板の印刷費など、地域生活に密着した公共的な支出が典型例です。特定の人や団体のみが利益を受けるような支出は避け、会員全体の納得が得られることが重要とされます。
自治会費は公共性・公平性を重視し、全員が恩恵を受ける支出に充てられる。
神事や神輿、花火は会費から支出できない理由
祭礼に伴う神事や神輿の運営、奉納花火などは、地域の伝統文化として価値はあるものの、宗教的意味合いや娯楽要素が強いため自治会費からの支出は不適切とされます。住民の中には信仰を持たない人や異なる宗教を信じる人もいるため、会費をこうした行事に充てることは公平性を欠き、トラブルの火種となる恐れがあります。
宗教的色合いや娯楽要素が強い神事や花火は会費から出せない。
法的背景:信教の自由と公平な負担の原則
日本国憲法は「信教の自由」を保障しており、自治会費を宗教行事に充てることは信仰を持たない住民への不当な強制になり得ます。また自治会は任意団体であり、会費は住民全員から公平に集められるものです。そのため、特定の宗教的行為への支出は「強制的な寄付」となりかねず、法的にも社会的にも慎重な扱いが必要とされています。
信教の自由と公平負担の観点から宗教行事への会費支出は避けるべき。